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1969年、イタリア・クレモナ県に生まれたSandro Asinari(サンドロ・アジナリ)は、クレモナの伝統的な弦楽器製作技術を基礎としながら、現代の製作家として歩みを続けるリューティエです。
1983年、14歳でクレモナ国際ヴァイオリン製作学校(Scuola Internazionale di Liuteria di Cremona)に入学し、Vanna Zambelliに師事。1987年に同校を卒業した後、Gio Batta Morassiが指導するC.E.E.のボッテガ・スクオラ(工房学校)で研鑽を重ねました。1991年末にはクレモナに自身の工房を開設し、以来、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの製作を手掛けています。
その製作活動は、国内外の弦楽器製作コンクールにおいても評価されてきました。1991年のBavenoコンクールでは「最優秀若手製作者」に選出され、ヴァイオリン部門で第2位を受賞。1993年には同部門で第1位、1995年にはヴィオラ部門で第2位および音響に関する賞、1997年にはチェロ部門で第3位を受賞しています。さらに、2003年のクレモナ・トリエンナーレではヴィオラ部門で佳作(Menzione d'Onore)、2006年のポーランド・ポズナンで開催されたWieniawski国際ヴァイオリン製作コンクールでは第2位を受賞しました。2008年にはNacodのコンクールで第2位および製作技術に関する賞を受賞し、同年のArvenzis Violin Competitionでは第1位となっています。2009年にはヨーロッパ・コンクール「Eufonia」のヴィオラ部門でファイナリストとなりました。
また、Asinariは製作だけでなく後進の指導にも携わってきました。クレモナ国際ヴァイオリン製作学校では、スクロール(頭部)の彫刻に関する専門講座を担当しています。現在は、クレモナの弦楽器製作者・弓製作者による組織「Consorzio Liutai e Archettai Antonio Stradivari di Cremona」の副会長を務めています。
Asinariの製作は、古典クレモナ派の巨匠たちを研究の基礎とし、とりわけAntonio Stradivariのモデルを用いています。一方で、本人は自身の製作について、過去の名器をそのまま複製するのではなく、古典的なモデルを出発点としながら、それぞれを独自の楽器として製作することを明確にしています。2026年のインタビューでは、StradivariやGuarneriなど過去の巨匠のモデルから学びつつも、コピーではなく、自身の個性を持った楽器を製作していると語っています。
クレモナの伝統を背景に、長年にわたる製作経験とコンクールでの実績を積み重ねてきたSandro Asinari。その楽器はイタリア国内に加え、日本、台湾、中国、アメリカ、オーストラリアなどにも届けられています。
伝統を踏まえながらも、単なる過去の再現にとどまらない。
それが、現代クレモナの製作家として歩み続けるSandro Asinariの製作姿勢です。
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